2023年春闘勝利!組織強化・拡大!憲法改悪反対!平和と民主主義を守り、岸田政権の退陣を求め、JRの安全・安心輸送の確立をめざす特別決議
本日、私たちは第193回拡大中央委員会を開催し、組織強化・拡大を最重要課題として確認し、職場からの具体的な闘いの積み上げと粘り強い交渉により、2023年春闘を全力で闘い抜き、JR各社とグループ会社に働く全ての労働者の賃上げと労働条件改善をはじめとした憲法改悪・原発再稼働・沖縄辺野古新基地建設・労働法制改悪など岸田政権が推し進めるあらゆる悪政に反対し、山積する諸課題を闘い抜く運動方針を確立した。
新型コロナウイルスの感染拡大から3年が経過する中、その影響は、長引く経済活動の停滞、企業倒産、業績悪化を理由とした解雇や雇い止め、労働条件の切り引き下げなど「弱者へのしわ寄せ」として顕著に現われてきている。
国内では、年末から感染者数は急激に拡大して第八波に突入したが、亡くなった患者が過去最多を更新するなど再び医療体制への影響が懸念される事態となっている。
こうした中、「新しい資本主義」の実現を掲げる岸田首相は、「物価上昇率を超える賃上げの実現」を経済三団体に要請をした。これを受け、1月17日に発表された経労委報告は、「物価高騰の影響を考慮した賃金の引き上げを呼び掛ける」として岸田首相に呼応するかのようなスタンスを取る一方で、定期昇給分を含む5%の連合の賃上げ要求に対しては、「過去10年の実績との乖離が大きい」と批判するなど、経営側の頑なな姿勢は何ら変わらないままとなっている。
財務省が昨年九月に発表した2021年度の法人企業統計では利益剰余金はすでに516兆円にのぼり、10年連続で過去最高額を更新し続けているが、働く者を取り巻く現状は、貧困と格差がますます拡大し、コロナ禍における消費支出は伸び悩んで、実質賃金は依然として低迷し、ワーキングプアも高い比率で推移している。
「ウイズコロナ」の日本経済を再生するためには、JR会社をはじめとした大企業が自ら蓄えた内部留保を労働者の賃上げに還元して、国内総生産の約6割を占める個人消費を拡大させる賃金政策へと転換させなければならない。
政府は今春にも感染症法上の分類を「五類」に引き下げる方針だが、公的負担を継続させ、健康で安心して働き続けられる医療・介護・福祉の拡充とともに、2023年春闘では「物価上昇率を超える大幅賃上げ」を柱として「格差是正」と「全ての労働者の立場に立った働き方」の実現に向け、全組合員が一丸となって闘い抜かなければならない。
一方、岸田首相は子育てのための雇用環境の改善など根本的な対策を置き去りにしながら、「異次元の少子化対策に挑戦する」として、4月には「こども家庭庁」の発足を決定した。さらに原子力エネルギー政策では、エネルギーの安定供給を理由に、「原則40年、最長60年」としてきた原発の運転期間を延長する法案を今国会に提出するとともに、次世代の新たな原子炉の開発・建築へと政策の大転換を進めようとしている。
また、昨年末には安全保障関連三文書の改定により、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有が明記されるなど日本の防衛力強化と国家安全保障戦略により、財源は先送りしたまま5年間で総額43兆円にのぼる防衛費増額を閣議決定し、大増税で乗り切る姿勢を鮮明にしている。こうした動きは、この間のロシアによるウクライナ侵攻や大量破壊兵器の使用リスクの高まりを利用しながら、「戦争ができる国」へと踏み出す軍事大国化に他ならず、近隣のアジア諸国からの大きな懸念を生み出すばかりでなく、憲法改悪に向けた大きな一歩となるものである。
私たちは、いまこそ岸田政権の暴走に歯止めをかけ、改憲発議を阻止し、安倍・菅前政権から引き継がれた岸田政権の退陣を求めるとともに、社会的格差の是正と労働者保護ルールの改悪に反対して非正規労働者の雇用・労働条件を改善するため、4月に施行される統一地方自治体選挙をはじめとした各種選挙闘争に勝利しなければならない。
他方、JRでは107人の尊い命が奪われ多数の負傷者を出した「福知山線脱線事故」からすでに18年が経過している。しかしながら、事故の教訓は活かされないばかりか新型コロナウイルスを理由に、JR各社は中長期計画の前倒しにより徹底したコスト節減・経費削減施策を強め、営利優先の効率化・合理化施策を推し進めている。安全・安定輸送の基盤ともいえる技術継承や労働条件、教育は不十分なまま、相次ぐ重大事故が発生するなど安全・安定輸送の根幹が脅かされている。
こうした状況を踏まえ、安全・安定輸送の確立に向け、引き続き「仕事総点検」「安全総点検」運動を全職場から強めながら、経営基盤の脆弱なJR北海道・四国・貨物会社への持続可能な支援策の拡充や自然災害が多発するJR九州会社への経営支援策の継続など総合交通体系の確立を求めてさらに取り組みを強化していく。
加えて新幹線開業に伴う並行在来線の第三セクター化、地方ローカル線など赤字路線の廃止、列車のワンマン化や自動運転化など、国鉄改革の構造矛盾や諸課題を改めて検証し、近年、激甚化する大規模災害での鉄道復旧のあり方や鉄道施設の老朽化によるインフラ整備など国や自治体に対する財政支援や政策課題を提起することも急務である。
本委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を未だ受けつつも、各エリア・地方から国労の最重要課題である組織強化・拡大に奮闘し合う姿が改めて確認されるものとなった。私たちは「五年ビジョン」の提起から次世代の育成・強化など仲間の発言に学び、組織強化・拡大を文字通り全ての闘いの集約点としながら、当面する2023年春闘を職場・地域から全力で取り組み、国労運動のさらなる前進に向け、組織一丸となって総力をあげ闘い抜くものである。
右、決議する。
2023年1月28日
国鉄労働組合
第193回拡大中央委員会