私たち国鉄労働組合は、7月27日~28日、新橋交通ビルにおいて第94回定期全国大会を開催し、組織強化・拡大運動をはじめとしたJR及びグループ・関連会社における労働条件改善や安全・安定輸送の確立、ローカル線など地方公共交通の維持・活性化、2026年春闘での大幅賃上げ獲得に向け、全力をあげて闘い抜く決意を固め合い、向こう一年間の運動方針を確立した。
6月22日に閉会した第217回通常国会は消費税減税や物価高対策、ガソリン暫定税率などをめぐって与野党の激しい攻防が続いたが、自民党派閥の裏金問題の実態解明と金権腐敗の温床である企業・団体献金の見直しは一歩も進まず、「3月末までに結論を出す」という与野党の約束はさらに反故にされ、政治資金規正法改正案の採決にも至らなかった。
6月22日に投開票となった東京都議選は政治資金パーティーの裏金問題で強い批判を浴びた自民党が大敗し、7月20日投開票となった第27回参議院議員選挙では、自公政権に対する国民の怒りが爆発し、自民党・公明党は大きく議席を失い、衆参ともに過半数を割る結果となった。一方、今回の選挙で無為無策の自民党批判の「受け皿」として、SNSを駆使しながら排外主義をあおる参政党や改憲を掲げる国民民主党が大きく躍進したことも注視しなくてはならない。今後さらに自民党内においては石破総裁下ろしが強まり、国会運営を乗り切るために自公政権が野党の分断をはかるなど、さまざまな動きも想定される。戦後80年を迎え、私たちは引き続き、平和・人権・民主主義の憲法理念を実現させる取り組みに全力をあげなければならない。
東日本大震災から14年が経過し、東京電力・福島第一原発事故の復旧の目途は立たないままとなっている。福島では漁業関係者の反対の声を無視したまま「ALPS処理水」の放出は繰り返される中、被災地の一日も早い復興が求められている。
JR福知山線及び羽越本線の脱線事故から20年が経過し、事故の教訓は生かされないまま、合理化・効率化施策によって要員削減が行われ、車両や保全・設備への負担から輸送障害は増大している。JR発足から39年が経過したが、安全輸送の根幹は大きく脅かされ、昨年7月のJR山陽本線新山口駅構内での貨物列車脱線事故の調査過程で発覚した輪軸組立に伴う不正な取り扱いやJR東日本で相次ぐ新幹線の分離事故、新型車両「E8系」の車両故障、さらにJR北海道では事故の対策後も再び同事故が発生し、初めて「強化型保安監査体制」の適用を受けるなど、重大なインシデントや事故・事象に加え、労働災害も後を絶たず、労働者の健康や命が奪われている事態になっている。
国労は交通運輸に携わる労働組合として、公共交通機関であるJRの社会的責任の履行やコンプライアンス遵守、労働災害・事故防止対策の取り組みを強め、利用者や地域住民の視点に立ち、交通運輸に結集する全ての仲間とも連帯した「安全・安定輸送の確立」「誰もが安心して安全に働ける職場づくり」をめざす運動を強化しなければならない。
ローカル線をはじめ地域公共交通を守る闘いも、地域公共交通活性化再生法改正法により新たな段階を迎える中、鉄道路線を維持するための公的資金支援制度の拡充や地域公共交通を守る立場での持続的な安定経営の確立が強く求められている。
同時に、JR及びグループ・関連会社が推し進める営利優先の様々な諸施策に対して、労働条件改善は喫緊の課題であり、格差是正に向けて「同一労働同一賃金」の確立と真の働き方改革を実現させることは急務である。
私たちはこの間、「組織強化・拡大の具体的な運動の展開」を全職場から実践し、組織拡大運動を全ての闘いの集約点として全力で取り組んできた。これらの取り組みにより、仲間の信頼や共感に結び付け、各エリア・地方から積み上げてきた成果や教訓に学び、不退転の決意で組織強化・拡大と次世代組合員への運動の継承を全力で取り組んでいく。
以上、宣言する。
2025年7月28日 国鉄労働組合 第94回定期全国大会