2020年春闘勝利!組織強化・拡大!安倍政権の横暴を許さず、平和と民主主義を守り、自衛隊の中東派遣反対、JRの安全・安定輸送と持続可能な総合交通体系の確立をめざす特別決議

 本日、私たちは第190回拡大中央委員会を開催し、組織強化・拡大を最重要課題として確認し、職場からの具体的な闘いの積み上げと粘り強い交渉のなかから当面する2020年春闘を全力で闘い、賃上げと労働条件の改善を勝ち取るとともに、安全保障関連法(戦争法)成立以降加速する「戦争する国づくり」、原発再稼働、沖縄辺野古新基地建設、労働法制改悪に反対し、全力をあげて闘い抜くことを決定した。 

 安倍首相はデフレ脱却として異次元な金融緩和を進めてきた「アベノミクス」が停滞するなか、経済政策の失敗を覆い隠すため、昨年末、経団連の会合で七年連続の賃上げを要請したが、経団連は、2020春闘に対し「従来型の賃上げやベースアップ議論ではなく、生産性向上や付加価値の高い事業に貢献できる働き方が必要」として働き方改革などを重視する姿勢を示し、政府の賃上げ要請に基づく「官製春闘」からの脱却姿勢を鮮明にした。 

 働く者の現実は、非正規雇用が全体の四割近くを占め、1100万人近くの人々が年収200万円以下で働かされる一方で増え続ける企業内部留保など、大企業と一部富裕層への富の集中・集積はこれまでにないほどに顕著となっている。私たちは、今春闘において、JRをはじめ大企業の内部留保を労働者に還元させ、国内総生産の約六割を占める個人消費を拡大させることが日本経済再生への道であり、2020年春闘で「底上げ・底支え」「格差是正」と「すべての労働者の立場に立った働き方」を実現させるために全力を尽くすことを確認した。 

 安倍政権は改憲勢力が衆参両院で3分の2議席を占める「数の力」を背景に、憲法改正の国会発議を目論んだが、昨年7月に行われた参議院議員選挙では、野党が結束し、3分の2に及ばない状況を作りだした。それにもかかわらず、安倍首相は1月20日に召集された第201回通常国会の施政方針演説において「東京オリンピックを国民と共に成功させよう」と強調しながら、あらためて憲法改正の実現に強い意欲を示し、「衆参両院の憲法審査会の場で議論を進めよう」と呼びかけ、一部野党も巻き込みながら、改憲の布石である国民投票法改正案を成立させることに躍起となっている。しかし、その思惑とは裏腹に数々の疑惑が持ち上がっている「桜を見る会」の私物化問題、IR汚職事件、公選法違反に絡む閣僚辞任など政治と金をめぐるみずからに不都合な問題をひた隠そうとする姿勢に大きな批判がわき起こっている。去る1月18日に広島高裁は伊方原発3号機の運転を認めない決定をした。さらに沖縄では昨年2月24日に埋め立ての賛否を問う県民投票が行われ、圧倒的反対の民意が再び示されたなか、辺野古新基地建設では新たに軟弱地盤が発覚し、工期に10年かかることも明らかになった。ましてや国会での審議や議決をも一切無視し、政府のみの判断で、事実上、トランプ米政権の呼びかけによる集団的自衛権行使のための「有志連合」に加担する自衛隊の中東派遣は到底許されるものではない。 

 いまこそ平和憲法と立憲民主主義を真っ向から踏みにじる安倍政権の横暴な姿勢に歯止めをかけ、社会的格差を是正し、労働者保護ルールの改悪阻止、非正規労働者の雇用・労働条件の改善など、国民・労働者の生活と権利を守るため、今ほど労働組合がその先頭に立って闘うことが求められているときはない。 

 107人が犠牲となり、多数の負傷者を出した福知山線脱線事故から一五年を迎える。安全・安定輸送の確保、持続可能な総合交通体系の確立は焦眉の課題である。JR西日本での新幹線台車亀裂やJR北海道新札幌構内での信号機倒壊も「重大インシデント」に指定されてきた。JR各社において営利を優先する効率化・合理化が進められ、安全輸送の根幹である技術継承、労働条件、教育の不十分さから、重大事故が相次いで発生しているが、安全・安定輸送の確立は何よりも優先されなければならない。また、広がるJR会社間の格差と、JR北海道・四国・貨物会社の経営問題は極めて深刻である。新幹線並行在来線の第三セクター化や赤字線の廃止、列車の自動運転化など、国鉄の「分割・民営化」以降のJR体制の検証を強め、近年頻繁に発生する大規模自然災害での鉄道復旧や迂回対策についての対応も喫緊に求められている。 

 本委員会では、北海道から九州まで、全国の仲間が最重要課題である組織強化・拡大に奮闘している姿が明らかとなった。私たちは「5年ビジョン」での次世代へつなぐ運動を、さらに仲間の頑張りによってすべての闘いへと結びつけるとともに、当面する2020年春闘を職場から全力で闘い、組織の総力をあげて次世代を担う国労運動の前進を勝ち取るものである。 
 右、決議する。 
 2020年1月25日

国鉄労働組合
第190回拡大中央委員会