国労第193回拡大中央委員会 委員長あいさつ

 第193回拡大中央委員会にご参集いただいた構成員、またリモートで出席している中央委員、傍聴されている組合員の皆さん、大変ご苦労さまです。中央執行委員長の松川です。中央執行委員会を代表して一言ご挨拶申し上げます。

 日本に新型コロナウイルス感染症が発症して4年目を迎え、現在第8波となっています。第7波以降は、行動制限による経済的な影響や国民感情、また重症化率が低いということもあり、自主規制という形になっていますが、年明けから感染者が急増し、死者数も増加傾向を示すなど感染拡大が懸念されています。今回の拡大中央委員会もコロナ禍のため、構成員が一堂に会すことができなかったことは非常に残念ですが、リモートでの参加を承認し、傍聴対応も行っていることをご確認ください。

 そして、本日も、コロナ禍で厳しい条件が重なる中ですが、東京地本鎌田委員長をはじめ、役職員の皆さんに準備を含めてご協力いただいていること、厚く御礼申し上げます。

 今中央委員会の第一の課題は、組織強化・拡大の取り組みです。

 本部は、昨年9月に組織拡大対策会議を立ち上げ、前年の組織拡大方針を踏襲し、「各機関1名を確実に拡大し、全国で50名の拡大を目指す」ことを確認し、本日までを第1次ゾーンとして取り組んできました。これまで、東京、近畿、九州から拡大の報告がありましたが、共通しているのは、組合員の取り組みがあったということです。労働組合は、人と人のつながりによって運動が作られ ていくものなので、素晴らしい方針だけ掲げていても拡大はできません。血の通った人として、労働者として、仲間としての付き合いと声掛けがあって、初めて拡大に近づくものです。取り組み=声掛けです。

 本部は、第1ゾーンの運動強化に向けて、組織部通信を発行して情報共有を図り、取り組みの強化を目指してきました。本日の委員会において第1ゾーンの成果と課題についての発言をお願いしたいと思います。

 国労運動のすべての基盤である組織強化・拡大に向け全力を傾注したいと思います。

 第二の課題は、2023年春闘についてです。

 岸田首相は、「成長と分配の好循環」を就任以来掲げていますが、現状は 成長と分配のバランスが大きく乱れ、日本企業の利益剰余金は、10年連続で過去最高を更新していますが、賃金は据え置き、非正規社員を大幅に増やしてきたため 実質賃金はマイナスで推移しています。したがって 日本の低賃金構造が世界的にも指摘され、円安と物価高によって生活が一層厳しくなったため、政治の側から賃上げを要請する官製春闘を主導せざるを得なくなり、岸田首相は「インフレ率を超える賃上げの実現」を経団連に要請しました。これに呼応し た経団連は、1月17日に発表した経労委報告で「企業の社会的な責務として、ベアを前向きに検討する」とし、賃金引上げを呼び掛けました。しかし、賃上げを行うのは企業であり、収益の回復度合いの温度差は大きく、2023年春闘も厳しい展開が想定されます。

 国労は、2023年春闘を全組合員が参加する職場からの春闘構築を目指します。安全・仕事総点検から職場を見つめなおし、機関と組合員が一体となって改善を目指す行動を展開したいと思います。同時に、日常的な職場運動を組合員のみならず他労組や労組未加入者、グループ・関連労働者と共に取り組むことから組織拡大を目指します。地域で闘う仲間と連帯した地域春闘の構築やJR北海道、四国、貨物に顕在化している構造矛盾の解決、ローカル線にかかわる諸問題の解決に向け取り組みを強化したいと思います。

 具体的には、2月27日に中央総行動・総決起集会を東京で開催し、主要政党への要請行動や街頭宣伝行動などの大衆行動を実施しますので、多くの仲間の結集をお願いします。日ごろ集まることがなかなかできない職場実態にあると思いますので、春闘期には集まって相談し、行動することを呼び掛けたいと思います。

 新賃金要求は、実質賃金の低下に歯止めをかけ、物価高騰の中で生き抜くための生活改善として、定期昇給の完全実施と併せて平均賃金の4.8%相当額、13,000円を基本とするベースアップを求めていく考えです。各エリア委員会終了後の2月13日、各社一斉に要求を提出し、各エリアで創意工夫した全組合員が参加する国労春闘を展開していくことといたします。

 第三の課題は、5年ビジョンについてです。

 昨年の大会において中間総括を報告しましたが、今後は組合員の減少に伴う組合費収入の減収が避けられません。現在、組織検討委員会で議論していただいていますが、財政規模に見合った組織と組織運営にしていくのは当然の対応であり、そのうえで運動の質を落とさず、組織を維持・発展させていくための最善の方法を探っていかなければなりません。その必須の課題が組織拡大であることをあらためて確認したと思います。さらに5年ビジョンより先も見越した判断が求められていますので慎重に議論を進めたいと思います。

 第四の課題は、JRの経営とローカル線の維持、安全・安定輸送の確立についてです。

 コロナ禍で生活や働き方が大きく変わり、JR各社の収支は厳しさを増し、その矛先が全国のローカル線問題に向かっています。国交省の諮問機関が昨年7月に提言を発表しましたが、以降も審議が行われており、1月17日にはローカル線の再編に向けた対応を盛り込んだ中間取りまとめが出され、国交省が地域公共交通活性化再生法の改正案を通常国会に提出する動きになっています。内容としては、バス転換を促す方向性が強いために警戒が必要で、JR各社もローカル線の収支を積極的発表するなど、廃線を含む検討に拍車がかかっています。

 本部は、昨年11月に国交省要請行動を行い、ローカル線の維持を中心とする課題について提起し、「単に単に鉄道かバスかを選択するのではなく、現在ある鉄道とバス・タクシーなどの組み合わせによる地域公共交通を目指す」ことを要請しました。引き続き、地域公共交通を確立し、地域住民の生活と街の活性化を図るための財政負担を国に求めることが必要です。春闘期の政党要請や国交省要請などを行いながら、地方自治体対策にも力を入れたいと思います。

 JR各社が進める各種施策については、安全・安定輸送を大前提に、本体やグループ会社の社員が、安全に働き続けることができる労働条件を確保するための協議に全力を挙げることこととします。

 第五の課題は、こくみん共済への100%契約移転に向けた取り組みについてです。

 交運共済については、こくみん共済コープへの契約移転に向け、すでに契約移転書類が組合員宅に届いています。内容を確認したうえで3月3日までに返信していただくようにお願いします。また、昨年11月以降に再雇用を希望せず、退職された組合員については、鉄道退職者の会へ加入しなければ、団体割引などが適用されなくなります。国労、及び鉄道退職者の会への加入をあらためてお願いします。不明点があれば本部まで問い合わせてください。

 最後に、政治的な課題です。

 岸田政権は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や台湾有事などで国民の危機意識をあおり、防衛費の倍増を目論んでいます。その一方で年金は削減され、医療費は高騰するなど社会保障費は削減されており、軍備を拡張するための増税など言語道断であり、安保法制による「戦争をする国」が現実のものになろうとしています。

 また、少子高齢化社会が日本の社会にとって大きな問題となっているにも関わらず、その具体策は置き去りになっており、「異次元の少子化対策」などの言葉だけが踊り、具体策は示されていません。さらには、脱原発や震災復興、温暖化対策など重要な課題を横において、軍事増強に血税をつぎ込む政治姿勢が鮮明であり、この動きにストップをかける闘いが求められています。

 今年は、統一地方選挙の年ですが、国民を裏切り続ける自公政権にストップをかけるためにも、地方から国民の声を突きつけることが必要です。国労方針に基づく候補者の勝利に向けて全力を挙げることとします。

 以上、政治課題を含めて6点の中心的な課題について述べましたが、これから迎える2023年春闘の闘いから、組織拡大の取り組みを中心に、次期全国大会まで全力を挙げる決意を申し上げて中央執行委員会を代表してのご挨拶といたします。

以 上