国労第194回拡大中央委員会 委員長あいさつ

 第194回拡大中央委員会にご参集いただいた構成員、そして会場及びリモートで参加されている傍聴者の皆さん大変ご苦労さまです。中央執行委員長の松川です。中央執行委員会を代表してご挨拶申し上げます。

 長年苦しめられた新型コロナウイルスも5類へ変更になったことで、気持ちも晴れて迎えた2024年でしたが、新年早々に能登半島地震、そして翌日には羽田空港での航空機事故が発生し死傷者が出るなど、重たい空気での幕開けとなりました。尊い命を奪われた皆さまに心よりお悔やみを申し上げると共に、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。

 新型コロナウイルスは落ち着いているものの感染者は出ていますし、インフルエンザも広がっています。また、職場の勤務調整なども難しくなっている中ですが、本委員会も東京地本鎌田委員長をはじめ、役職員の皆さんに準備を含めてご協力いただいていること、厚く御礼申し上げます。

 昨年を振り返ってみるとロシアの軍事侵攻によるウクライナの戦争が長期化しており、犠牲者は増えるばかりの状況ですが、イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが戦争状態になり、新たな争いが勃発しました。戦争当時国や周辺諸国を含めて、自らの主張を正当化していますが、そのために未来を作る子供たちを含む多くの国民や戦闘員としか扱われない一国民が毎日のように犠牲になっています。目を覆いたくなるような惨状です。

 残念ながら日本は、その戦争に米国の傘に隠れながら安保法制を整備し、軍事増税をも視野に「戦争のできる国」から「戦争をする国」へと変貌を遂げ戦列に立とうとしています。国を守るどころか戦争に巻き込まれる危険性が増し、国民を危機にさらしていることに気付くべきです。国労は、このような政治のあり方を認めることはできません。金権腐敗が一層進んだ自民党政治を一刻も早く終わらせるためにも、国民本位の政治体制の確立が求められています。

 そのような大きな課題に立ち向かっていくためにも、闘う労働者の団結が必要であり、国労の組織強化が求められています。

 今中央委員会の第1の課題は、組織強化・拡大の取り組みです。

 本部は、昨年9月に組織拡大対策会議を立ち上げ、これまでの組織拡大方針を踏襲し、「各機関1名を確実に拡大し、全国で50名の拡大を目指す」ことを確認し、本日までを第1ゾーンとして取り組んできました。これまで、東京、広島から拡大の報告がありましたが、共通しているのは機関の「具体的な組織拡大方針」と「組合員の行動」があったということです。

 国労組織は運動を展開し、要求を獲得するためには無くてはならないものです。組合員がいなければ、方針は意味を成しません。議論ばかりしていても成果は勝ち取れません。今すぐ行動に打って出ることが必要です。

 今委員会では、第1ゾーンの総括を行い、第2ゾーンに向けた意思統一を図ることが必要です。国労運動のすべての基盤である組織強化・拡大に向け全力を傾注したいと思います。

 第2の課題は、2024年春闘についてです。

 2023年春闘は30年ぶりの高水準の決着となったと言われていますが、賃上げをはるかに上回る物価上昇があり、実質賃金は下がり続けています。その一方で、日本の企業が内部留保としてため込んだ利益剰余金は過去最高を更新し続けていますが、日本の低賃金構造は一向に変わっていません。世界市場からも指摘をされた岸田首相は経済3団体共催の新年会で、今年は「物価上昇を上回る所得増を実現しなければならない」と「経済対策としての賃上げ」を要請しました。毎年のような官製春闘に本腰を入れざるを得ないほど低賃金構造が問題となっています。

 これに呼応した経団連は、16日に発表した経労委報告で「昨年以上の賃上げに果敢に取り組みたい」とし、大企業、中小企業ともに賃上げを求める考えを示し、連合方針である「5%以上の賃上げ」を評価するとしました。

 しかし、賃上げを行うのは企業であり、賃上げを要求するのは労働組合の大きな役割ですが、日本の労組加入率は16.5%と過去最低となっており、労組の影響力低下が深刻な問題となっています。JR東日本における現職の労組加入率も2割を切っており、労組の影響力を回復するためにも、国労への組織拡大が求められています。

 国労は、2024年春闘において、全組合員が参加する職場からの春闘を構築し、課題の獲得を目指します。具体的には、3/5に中央総行動を展開し、全国をリモートでつないだ総決起集会を東京で開催します。前段には主要政党への要請行動や街頭宣伝行動などの大衆行動を実施しますので、多くの仲間の結集をお願いします。また、前日には、全国組織部長会議を開催し、組織拡大第2ゾーンに向けた意思統一を行います。

 日ごろ集まることが中々できない職場実態の中で、「春闘での一行動」を呼び掛け、「生活改善のための賃上げ」を求めていきたいと思います。

 第3の課題は、JRの経営とローカル線の維持、安全・安定輸送の確立についてです。

 JR各社はコロナ禍での経営悪化により、経営のスリム化が求められたため、経営問題としてローカル線の運行を取り上げ、赤字の収支を発表するなど廃線を前面に押し出してきました。一方で政府は、「地域公共交通活性化再生法」の改正を行い、鉄道事業者も国に対して「再構築協議会」の設置を求めることができるようになったため、今後は廃線を含む検討が一層進むことが想定されます。

 そのような現状を踏まえ国労は、昨年11月に国土交通省要請を取り組み、鉄道を公共交通の基幹交通として再生させることを中心に全エリアからの要請を行いました。国鉄「分割・民営」化のスキームが大きく変わるような「第2の国鉄改革」ともいえるこの動きに対して警戒心を持つことが必要です。この36年でJR北海道の路線は、路線の25%に当たる、約800㎞も削減されました。そして全国の駅の半数が無人となっている現状を踏まえ、公共交通とは何かを問い直し、「利用者のための鉄道、国民のための公共交通」の構築に向け取り組みます。

 第4の課題は、5年ビジョンについてです。

 第88回定期全国大会で確認された方針に基づき実施してきた5年ビジョンは、最終年度迎えており次期に向けた考え方が求められています。これまで5年間の課題を示し組織拡大運動を提起してきましたが、組織拡大と運動の前進という成果を確認しつつも、国鉄世代の大量退職には追い付かず組織回復には至っていません。

 一方で、次世代の育成は徐々に進んできており、引き続きJR世代の組合員を中心に据え、その数を増やしていかなければなりません。国労総体の問題として、JR世代と共に組織運営を行いながら、最終年度の残りを全力で取り組みたいと思います。

 なお、次期に向けた考え方については、本部のみならず全機関における課題であることから、全機関による総括を行い、次期大会前後に考え方を示したいと思います。

 第5の課題は、政治課題です。

 前段でも触れましたが、政権党である自民党が進めているのが、軍事大国化、そして原発回帰です。地震大国における原発使用がいかに危険であり、いざ事故が起きたときに放射能をコントロールする術を知らない人類が核を使い続ける愚かさを改めて知るべきです。大きな地震が頻発する日本でフクシマの現状から学ぶことが必要です。

 本部は昨年11月に 震災からの復興と原発事故を風化させない観点から 11回目を迎えた国労フクシマ交流・視察学習会を開催しました。現在の人類の技術では、核をコントロールすることはできず、核のゴミは地中に埋め、汚染水は海に放出するしかありません。いまだに福島第一原発事故の収束の目途さえ立っていない原発を全国で再稼働させることを許すことはできません。国労は、今後も福島の仲間と共に闘い、そして全国の仲間と連帯して、原発に依存しない世界の確立に向け取り組みを強化します。

 また、沖縄の基地問題では、何度も民意が示されているにもかかわらず、出来レースの裁判を重ね、ついに代執行を経て強行的な工事着工に踏み切りました。このような国民を無視した政治を認めることはできません。

 その自民党は金権政治にまみれ、ついには逮捕者が出る状況にあります。政治と金の問題は氷山の一角であり、蟻の一穴として政治体制を変えることが必要です。

 最後に共済運動についてです。

 昨年来、こくみん共済コープへの契約移転に対する各級機関の取り組みに対し、あらためて感謝申し上げます。すでに具体的な活動に入っており、総合共済の改定時期も近づいています。鉄道退職者の会との連携を進めながら、契約者保護の観点から取り組みを進めてまいりたいと思います。引き続きのご協力をお願いします。

 以上、交運共済の関係も含めて6点の中心的な課題について述べましたが、多くの課題の解決のためには組織を増やして国労の力をつけていくしかありません。これから迎える2024年春闘の闘いから、組織拡大の取り組みを中心に、次期全国大会まで全力を挙げる決意を申し上げて中央執行委員会を代表してのご挨拶といたします。

以 上