2024春闘勝利!組織強化・拡大!憲法改悪反対!平和と民主主義を守り、岸田政権の退陣を求め、JRの安全・安定輸送の確立をめざす特別決議

 私たち国労は、新橋交通ビルにおいて第194回拡大中央委員会を開催し、組織強化・拡大を最重要課題として位置づけ、職場からの具体的な闘いの積み上げと粘り強い交渉により、2024年春闘に勝利し、JR各社とグループ会社に働く全ての労働者の賃上げと労働条件改善を勝ち取るとともに、憲法改悪・原発再稼働・沖縄辺野古新基地建設・労働法制改悪など岸田政権が推し進めるあらゆる悪政に反対し、山積する諸課題を闘い抜く当面する闘争方針を確立した。

 2020年2月以降、長期にわたり全世界に多大な影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症も、国内での「5類」相当への引き下げに伴い、行動制限が解除され、これまで停滞していた経済活動は回復基調にあるが、原材料などの価格高騰による相次ぐ物価上昇は、働く者の生活に大きな打撃を与えている。

 こうした状況のなかで、岸田首相は、安倍・菅政権の「官製春闘」を継承して「所得増と経済成長の好循環」を生み出すために「昨年を上回る賃上げの実現」を経済団体に要請した。これを受け、1月16日に発表された経労委報告では、「昨年以上の熱量と決意をもって物価上昇に負けない賃上げを目指すことが社会的な責務である」とし、「中小企業の賃金引き上げに波及するよう価格転嫁と生産性向上ができる社会的な支援が肝要である」と言及している。

 しかし、厚生労働省が1月に発表した毎月勤労統計では、実質賃金は20カ月連続マイナスに落ち込む一方、財務省が発表した昨年度の法人企業統計では、大企業の利益剰余金が554兆円を超え、11年連続で過去最高額を更新している。さらに働く者を取り巻く状況は、相次ぐ物価高騰の中で貧困と格差は拡大し、年収200万円以下のワーキングプアも1100万人を超えるのが現実である。

 今日、日本経済を再生する道は、大企業がこれまで蓄えてきた内部留保を労働者の賃上げに還元しながら、国内総生産の約六割を占める個人消費を拡大させる賃金政策へと転換させることにある。

 そのためにも、直面する24春闘では「物価上昇率を超える大幅賃上げ」を柱としながら、格差是正と全ての労働者の立場に立った働き方の実現に向け、全組合員が一丸となって闘い抜くことが求められている。

 1月1日に能登半島沖を震源とした「令和六年能登半島地震」は、230名を超える尊い命を奪い、酷寒のなかで1万5千人を超える人々がいまも避難生活を余儀なくされている。そのうえに石川県・志賀原発では想定を超える地震の揺れが観測され、変圧器が破損し、絶縁油が海に流れ出してモニタリングポストが故障する事態も発生するなど、「地震大国」である日本の原発政策の危険性を浮き彫りにした。この間、岸田政権が進めてきたエネルギーの安定供給に名を借りた次世代の新たな原子炉の開発・建設など、原発推進政策への転換がいかに危険なものであるのかは明らかである。

 加えて、安全保障関連三文書の改訂により反撃能力(敵基地攻撃能力)保有が明記され、日本の防衛力強化と国家安全保障戦略により、財源を先送りにしたまま、5年間で総額43兆円にのぼる防衛費増額を決定するなど、岸田政権はロシアによるウクライナ侵攻を利用しながらいつでも「戦争ができる国」へと踏み出す準備を進めている。

 政治の場では、自民党の派閥による政治資金パ―ティーをめぐる裏金問題により、自民党政治に対する不信感はかつてなく高まって内閣支持率の低迷として現れており、自民党総裁である岸田首相の責任が厳しく問われている。

 こうした岸田政権の暴走政治に歯止めをかけ、改憲発議を阻止し、その退陣を求め、社会的格差の是正と労働者保護ルールの改悪反対、非正規労働者の雇用・労働条件を改善するためにも、働く者のいのちと暮らしを守る視点から年内にも想定される解散・総選挙に向けて闘いを強化していかなければならない。

 JR各社とも発足から37年が経過する中、より徹底したコスト削減・経費削減施策による営利優先の効率化・合理化施策が推し進められている。特に安全・安定輸送の基盤ともいえる技術継承や教育が不十分なまま、相次ぐ重大事故が発生し、安全・安定輸送の根幹が脅かされている。107人の尊い命が奪われ、多数の負傷者を出した福知山線脱線事故から、すでに19年が経つが、事故の教訓は生かされず、尾久駅構内のケーブル焼損による4時間半の運転見合わせ、大船駅構内での電化柱と列車の衝突事故、JR山陽線笠岡~里庄間で列車見張員の触車死亡事故、東北・上越・北陸新幹線では架線トラブルにより停電が発生して終日運転を中止するなど重大な事故・事象は後を絶たない。

 いまこそ安全・安定輸送の確立に向け、「仕事総点検」「安全総点検」運動を全職場から強めるとともに、経営基盤の脆弱なJR北海道・四国・貨物会社への恒久的支援策の拡充や自然災害が多発するJR九州会社への経営支援策の継続など持続可能な総合交通体系の確立は急務となっている。

 昨年10月に「改正地域公共交通活性化再生法」が施行されたが、新幹線建設に伴う並行在来線の第三セクター化、ローカル線など赤字路線の廃止、駅の無人化の拡大、列車のワンマン化や自動運転化など、改めてJR各社の問題点や諸課題を検証し、近年、激甚化する大規模災害での鉄道復旧のあり方や鉄道施設の老朽化によるインフラ整備など国や自治体に対する財政支援や政策課題について利用者・沿線住民と連携し、地域公共交通の維持・活性化に取り組まなければならない。

 本委員会は、各エリア・地方から国労の最重要課題である組織強化・拡大に奮闘し合う姿が改めて確認されるものとなった。私たちは次世代の育成・強化など仲間の発言に学び、組織強化・拡大を全ての闘いの集約点としながら当面する2024年春闘を職場・地域から全力で取り組み、国労運動のさらなる前進に向け、組織一丸となって総力をあげ闘い抜くものである。

 右、決議する。 

 2024年1月27日 

国鉄労働組合
第194回拡大中央委員会