国鉄労働組合は、9月18日、新橋交通ビルにおいて第89回定期全国大会を開催し、一年間の闘いを総括すると共に、組織強化・拡大を柱に、JRの安全・安定輸送の確立、JR及びグループ会社を含む非正規労働者の正社員化と処遇改善、合理化反対、原発再稼働反対、辺野古新基地建設反対、2021年春闘に全力をあげて闘い抜くことを決定した。 今年1月20日に召集された第201回通常国会では、カジノ汚職に、東京高検前検事長の定年延長、検察庁法改定、新型コロナ対策の持続化給付金の不透明業務委託など行政を私物化する安倍政権の姿勢と、それに対する国民の怒りが沸き起こった。 新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延するもとで、実質GDPの「戦後最悪の落ち込み」が公表されたが、昨年10月の消費税増税率の引き上げが、経済成長に影響を与えたことはいうまでもない。 政府は、感染拡大を招きかねない「GoToキャンペーン」を続けているが、「感染防止に必要な休業要請を、補償とセットで行う」ことを国民・労働者は求めている。安倍前首相は、来年9月までの自民党総裁任期を残したまま、自身の持病悪化を理由に辞任し、安倍政権の継承を標榜する菅義偉首相が誕生した。 私たちは、数の力で立憲主義、民主主義を破壊する政治の継続を許すわけにはいかない。いまこそ国民・労働者の暮らしと憲法を守り、多様性の尊重と個人の尊厳を守り抜く政治を実現するため奮闘する。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から9年半が経過した。未だに汚染水や地下水への対策、溶融燃料の対策が滞り、「核のゴミ」の処理問題についても見通しが立っていない。また、4万人を超える住民が避難生活を余儀なくされ、被災自治体の人口減少や高齢化が進行している。一方で、不通が続いていたJR常磐線・富岡から浪江間の運行が今年3月14日に再開し、九年ぶりに全線が復旧したことで、利用者・住民の期待に応えることになったが、「除染なき帰還困難区域の解除」を含めて課題も山積している。私たちは、引き続き原発再稼働阻止、再生可能エネルギーへの政策転換と脱原発社会の実現を求め、平和フォーラムをはじめ、あらゆる団体と連携を図りながら全国的な運動を強化していく。

 福知山線及び羽越本線での脱線事故から15年目を迎えたが、いまなお、重大インシデントや労働災害が発生し、JR及びグループ会社の安全・安心が脅かされている。私たちが労働組合として安全・安定輸送の確立に向けた役割を果たす上で、企業の社会的責任の追求やコンプライアンス遵守のため検証を間断なく行い、団体交渉の強化を図り、事故防止対策を強く求めていくことが問われている。また、「誰もが安全で利用しやすいJR」として利用者や地域の視点に立ちながら、陸・海・空で働く交通・運輸労働者の仲間との共闘・連帯を深め、コロナ禍においても「安全・安心に働ける職場づくり」をめざした取り組みを進めることが重要である。

 労働協約改定闘争や年末手当闘争、2021年春闘は、コロナ禍でJR旅客各社が、かつてない減収を公表する厳しい情勢のもとでの闘いとなる。組合員の生活と権利や職場要求に依拠して団結し、希望する契約社員の「正社員化」を求める取り組みを重点課題として位置付け、あらゆる機会を通じて粘り強く働きかけていく。

 第81回定期全国大会で、組織強化拡大を喫緊の課題として全国統一行動に決起することを確認し、この間、闘争指令第一号に基づき、8年にわたり組織拡大運動に全力をあげて取り組んできた。『今後五年を見据えた国労の課題と方向性』のビジョンが1年を経過し、次期全国大会では、「闘争指令第一号」の総括と集約を行うこととしている。国鉄労働組合を担う次世代へ、運動・組織・財政を継承発展させていくための議論とともに組織拡大行動に総力をあげて取り組まなくてはならない。国鉄労働組合は、結成から74年の長い歴史と伝統を持つ組織の経験と実績を基に、安全な公共交通の再生をめざす立場から、職場での労働条件や待遇改善に向け、日常からの運動の積み重ねにより、若い世代にアピールできる国労運動の構築をめざし、諸要求の実現と組織強化・拡大の前進を柱に、全力で闘いを強化することを決意する。

 右、宣言する。

2020年9月18日 国鉄労働組合 第89回定期全国大会