第91回定期全国大会にご参集いただきました仲間の皆さん、酷暑の中、コロナウイルス感染拡大が懸念される中、今大会に参加いただいた構成員の皆さま、そして、国労運動を職場・地域から展開し、感染に対する心配を常に抱えながらも鉄路を守り、安全運行、お客さま対応に専念されている組合員に対し敬意を表します。中央執行委員長の松川です。中央執行委員会を代表して一言ご挨拶申し上げます。

 新型コロナウイルスが猛威を振るってから3年が経過し、現在、第7波と言われる拡大状況の中にあります。そのような厳しい環境下において本日の大会も東京地本に準備地本として任務に着いてもらい、大会の諸準備をしていただいていることに感謝申し上げます。

 さて、ロシアが2月にウクライナへの軍事侵攻を開始してから5か月が経過しましたが、国連安保理の常任理事国であるロシアが、核の脅威を背景に軍事侵攻を行ったことに驚きと憤りを禁じ得ません。何の罪もない人々の命が奪われ、兵士が傷つき殺されています。全てが尊い人間の命であることは言うまでもありません。いかなる理由があろうとも「軍事侵攻や武力による問題解決」は、国労として認めることはできないことを全国大会として確認したいと思います。一日も早い停戦と平和解決を望むものです。

 今年、鉄道は開業150年を迎えます。この鉄道の歴史は、事故と改善の歴史であり、技術革新と労働者の命を守る運動が追求されてきました。その150年の歴史において、国労は76年にわたり中心的な役割を担ってきましたが、現在でも変わらぬ意思をもって全国で取り組みが行われており、今後も闘いを追求していかなければなりません。

 一方、組織の現状は、国鉄分割・民営化から35年の歳月が流れ、大変厳しい現実にあります。しかし、組織強化・拡大運動を展開しながら、2012年の闘争指令第1号以降では300名を超える拡大を果たすことができました。これもひとえに組合員の絶え間ない努力と役員の指導のおかげです。心から感謝申し上げます。

 昨年度は、運動の総括を踏まえて、闘争指示第7号を発出し、取り組みを強化してきました。その結果、組合員の減少やコロナ禍で組織拡大運動が思うようにいかない中でも、東京地本と近畿地本が取り組みをリードして拡大を果たしてくれました。両地本の取り組みに感謝し、お互いに学び合いたいと思います。一方で拡大がなかった地本も、落胆することはありません。運動なので結果がいつ出るのかは、わかりません。東京地本で7月1日付をもっ女性が加入しましたが、当該分会では2012年に拡大があって以来、分会レクなどを通じて交流を続けていたことから、今回の拡大につながったと報告されています。取り組めば、いつか結果は出るということです。しかし、取り組みをやらなければ、拡大はないのも事実です。この運動の総括をすることが必要であり、その教訓を大会で発言していただき、引き続き最重要課題として、組織強化・拡大運動を強化します。

 HPの活用について触れておきます。最近HPへの問い合わせが増えており、その中には、組合加入やその相談といったものも含まれます。特に、若い世代はHPを見ているので、「問い合わせや加入をお待ちしています」といった、国労の意思を伝えるツールとなる HPの活用は必須です。すでに活用している地本もありますが、早急に整備することを求めたいと思います。あらゆる手段を行使した組織強化・拡大の取り組みに全力を挙げます。

 第2の課題は、JRの安全・安定輸送を確立する取り組みです。

 コロナの影響が大きく響き、JR各社は厳しい経営を余儀なくされ、会社は当然のように経費削減等の会社施策を一気に進めてきました。コスト削減策として、究極の人件費削減策である自動運転や路線の廃止にも踏み込んできました。自動運転は、技術的には可能だとしても、命を運ぶ列車の安全とトラブル対策については、究極の安全対策が必要です。一方、駅では、都市部でも委託駅や無人駅が増え、総じて駅員が減少しています。JR・私鉄を踏めた全国の駅の48%が無人駅となっており、介助が必要なお客さまなどから不安の声が寄せられています。無人駅に自動運転、これで、安全は担保されるのでしょうか。労働組合として働く側からの意見を伝え議論することなしに実施することは考えられません。業務部とエリア本部の連携を強め、取り組みを強化します。

 また、ローカル線問題では、コロナ禍により収支が厳しくなった鉄道各社について、国交省がJR本州三社や自治体を含む、有識者で構成する『鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会』を2月に立ち上げ、7月25日に提言として発表しました。内容は、「ローカル線の利用は悪化し、事業者は維持のためコスト削減するが、さらに不便になり利用者が減少、ローカル線を経営のお荷物と考え、国・自治体も事業者まかせにしてきたことが問題」と指摘したうえで、「国、自治体、鉄道事業者は、利用者の立場に立って公共交通のあり方を考えるべき」としています。ローカル線の現状は、利便性があるとは思えないダイヤ設定など多くの問題があり、利用者からもバス転換を求める声があることも事実で、「鉄路を残せ」と叫ぶだけでは運動にならないことから、地域と連携した取り組みが求められています。国労は、鉄路を維持しながらバスなどの組み合わせによる地域公共交通を目指す考えです。交運労協に結集する仲間との連携はもとより、国、自治体への働き掛けも必要なことから、要請行動などを強化していきます。

 第3の課題は、5年ビジョンの中間総括についてです。

 本大会にこれまでの確認に基づき中間総括を提出しています。財政は基金を計画的に運用しているので、順調に推移しています。ただ、組合費の減収は改善できていないため、5年ビジョン以降の財政をどうするのか、考えないといけません。本部として、経費の節減も行ってきましたが、さらなる努力が必要です。昨年度は、リモート設備を全国に整備し、リモート会議や集会の開催なども企画しましたが、今後の組織事情を勘案して、リモートの活用をさらに拡大していきたいと思います。

 運動面では、組織拡大運動は中心的な課題として取り組まれており、次世代の育成と運動の継承についても、各級機関で努力されてきました。
一方、組織現状は、退職に伴い組合員が減少しており、組織のあり方にも直結する課題として受け止めています。これから先の組織をどのように形作っていくのか、5年先、10年先を想定し、機能的な組織体系について検討を重ねなければいけません。地方本部も組合員の減少により、設置要件に満たない機関が増えてきました。地本の再編も選択肢として排除せず検討を行っているところです。

 5年ビジョンもあらゆる角度から検証し、皆さんと共に議論したいと思います。第4の課題は、政治課題についてです。

 7月10日に投票された第26回参議院議員選挙において投票日直前に安倍元総理が凶弾に倒れ他界されました。ご冥福をお祈りいたします。参院選では、ロシアの軍事侵攻や物価高など多岐にわたる課題を持って闘われましたが、結果は自民党が改選単独過半数を確保し、野党には厳しい結果となりました。結果として、改憲発議に必要な3分の2を超えたことから、平和憲法は危機的状況にあるといえます。

 日本の社会は超高齢化社会となり、医療費や年金財源が必要になってきますが、年金はカットされ医療費は高騰し、さらに物価高が重くのしかかり、コロナ禍による減収と相まって厳しい生活となっています。しかし政府は、国民が一番困っていることにお金を使うことなく、防衛費を2倍にし、敵基地攻撃能力をも視野に、「日本守る」としています。しかし、軍事で国を守ることは不可能であることをウクライナの現状から学ぶべきです。

 また、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が行われましたが、米国の同盟国も参加する中で、世界で唯一の被爆国である日本は、オブザーバーとしての参加も見送りました。会議には、オブザーバー国を含め、80を超える国と地域が参加し、核の脅しを背景に軍事侵攻を続けるロシアへの批判の声が出されました。

 さらに、原発を巡る動きでは、福島第一原発事故における株主代表訴訟で東電旧経営陣に13兆円の賠償を命令する判決が出されました。判決を下した裁判長は、「現地進行協議」を行い、福島第一原発を視察したとしています。国労は、『フクシマ交流』を取り組み、現地の視察・学習を積み重ねてきました。あの光景を見た人は、原発再稼働とか、安全利用などという言葉すら思いつかないはずです。今年も10回目になる『フクシマ交流』を成功させ、反原発の取り組みを地域の仲間と共に取り組みます。

 共済運動についても触れておきます。

 交運共済は、来年7月にこくみん共済コープへ契約移転することをすでに決定し、諸手続きに入っています。交運共済としてチラシやHPで情報開示していますので参照願います。今後は、各エリア・地方がこくみん共済コープの都道府県推進本部からの訪問を受け、今後の共済推進運動などの窓口になっていただくことになります。国労は、鉄関労の構成組織として、共済を利用することとしました。掛け金収受や諸手続きなどの事務作業は、一括して鉄関労で行うべく準備していますので、不明点があれば本部に問い合わせをしていただきたいと思います。

 以上5点の中心的な課題について述べましたが、私たちは座して死を待つわけにはいきません。難局を乗り越え国労運動を継承していくためにも、職場からの運動を強化し、組織拡大の取り組みに全力を挙げる事をあらためて強く訴え、91回大会の成功と国労の総団結を目指す決意を申し上げて中央執行委員会を代表してのご挨拶といたします。