ロシアによるウクライナ侵略断固糾弾、ロシア軍の即時撤退、核兵器廃絶、大軍拡阻止、憲法改悪に反対し、国連憲章に基づく平和的解決を求める特別決議
2月24日、ロシアがウクライナに強行した軍事侵攻から五カ月が経過したが、いまもなお多くの市民を犠牲にしながら、病院、学校、原発、ショッピングモール、住宅地などの非軍事施設への攻撃が繰り返され、何の罪もない多くのウクライナ国民が虐殺される一方で、国外への避難を余儀なくされている。
こうした他国に対する武力行使や民間人への無差別な殺戮は、国連憲章・国際法を真っ向から蹂躙する蛮行であると同時に、ウクライナの主権と領土を侵すまぎれもない侵略行為であり、私たちは断固糾弾するものである。
ロシアのプーチン大統領は、「北大西洋条約機構(NATO)の脅威」、「ウクライナ国内のロシア系住民を保護する必要がある」など様々な口実を並べ立ててウクライナ侵略を正当化しようとしているが、いかなる「理屈」をつけても他国への武力行使は、二度の世界大戦の反省・教訓から、紛争を平和的に解決することを「全世界」に義務づけた国連憲章を根底から脅かすもので到底許されるものではない。
プーチン大統領は人類を破滅させる「核兵器の使用」を示唆し、世界を恫喝しているが、これまでも朝鮮戦争やベトナム戦争などで核兵器使用が取り沙汰されるたびに指弾されてきたように、「核兵器を持てば核兵器の使用が止められる」という『核抑止論』の幻想はすでに破綻し、「核兵器の脅威を根絶するには、核兵器廃絶の道しかない」という現実を改めて突きつけている。
こうした中にあって、岸田政権は、核による脅威に核で対抗する『核抑止論』、歴代政権の「専守防衛」を放棄した「敵基地攻撃能力(反撃)の保有」、大軍拡に向けた「軍事費GDP(国内総生産)比2%以上」、海外での武力行使が可能となる九条改憲など矢継ぎ早に戦争する国づくりに向けた策動をより一層、積極的に推し進めている。バイデン米大統領は、ゼレンスキー政権に対して巨額の軍事支援と武器供与を続ける姿勢を示すとともに、ポーランドに常駐部隊を置くことをはじめ、ルーマニアとバルト3国での駐留米軍の増強を表明するなどロシアを仮想敵国とした「冷戦以降最大」の軍事対決に踏み出している。そしてこれに呼応しながら、岸田首相は日米首脳会談で、「日米同盟の抑止力・対処力の強化」を表明し、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議においては、ロシア・中国への対決姿勢を前面に打ち出しながら自衛隊の軍備増強を明言した。
しかし、ひとたび「軍事対軍事」の構図が激化すれば、際限のない軍拡競争と新たな軍事的緊張を呼び込み、世界と地域を分断しながら、行きつく先は戦争の拡大に他ならないことは明白である。北大西洋条約機構(NATO)を民主主義陣営・「正義」と標ぼうし、「民主主義対専制主義のたたかい」と位置付けて対立を煽るのではなく、ロシア軍の即時撤退に向けて、「ウクライナ侵略反対」「国連憲章守れ」の一致点で、世界が連帯し、ロシアを良識ある世論の力で国内外から包囲しなければならない。
ウクライナ戦争から五カ月、農産物などへの甚大な損害や人的被害が拡大する中、国際社会の分断を修復し、「紛争解決の手段として戦争はさせない」という憲法九条の役割が今ほど鮮明になっている時はない。 私たち国労は、武器・弾薬の輸送など戦争に協力させられてきた苦い歴史と経験から、結成以来、安保条約改定阻止、軍需輸送反対、ベトナム・イラクなどへの侵略戦争反対、戦争法(安保法制)反対、改憲阻止の闘いに奮闘してきた。
日本と世界の平和を実現するために、あらためて世界の労働者と団結・連帯して、反戦・平和闘争に全力をあげて闘い抜いてきた国労の歴史と闘いの中から組織拡大を前進させ、主体的力量を高めることが決定的に重要である。
国労は、総力を上げて、ロシア軍の即時撤退と外交による平和的解決、核兵器廃絶、大軍拡阻止、憲法改悪に反対し、世界から戦争をなくすために、総力を上げて奮闘するものである。
2022年7月29日 国鉄労働組合 第91回定期全国大会