岸田政権打倒、憲法改悪を許さず、働く者の生命と健康を守り、核なき世界の平和と民主主義実現をめざす特別決議

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、本年2月で1年半が経過した。未だに、多くの市民が犠牲となり、国外避難民は800万人を超えている。

 ロシアのウクライナ侵攻開始一年にあたって開催された国連総会緊急特別会合は、「国連憲章の原則に従ったウクライナの包括的、公正かつ永続的な和平」を求め、そのための「外交努力への支援の倍加」を国際社会に要請する決議案を、141か国の賛成多数で採択し、国連憲章遵守の一点で国際社会が団結することの重要性を示した。いかなる理由があろうと他国への武力行使は許されるものではなく、国連憲章の精神を根底から覆すことであり、ロシアの暴挙は断固糾弾されるものである。

 岸田政権は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を契機とし暴走政治に拍車をかけている。

 岸田首相は自民党総裁任期中の改憲発議を狙っており、一方で「台湾有事」など中国との軍事的緊張をあおりながら、日本を「戦争する国」へと駆り立てて、日本国憲法の基本原理である「平和主義」を根底から覆し、「憲法軽視」「軍事大国」へ突き進もうとしている。憲法改悪を許さない世論を大きくし、運動を広げ、国民の力で阻止することが重要である。

 また、政府は「軍事力の増強が抑止力を強め、平和を担保する」などと暴論をふりかざし、「安保3文書」では憲法の趣旨を大きく逸脱した敵基地攻撃能力の保有を打ち出して「専守防衛」の路線を大きく変更させた。そして、六月二一日に閉会した第211回通常国会では、5年間で43兆円の防衛費の財源を捻出する「防衛財源確保法案」、国民の血税で軍需産業を支援する「防衛産業基盤強化法案」を可決成立させた。さらに、被災地の声を聞くこともなく、原発回帰への大転換を進める「原発推進等5法」、健康保険証を廃止してマイナンバーカードを強要する「マイナンバー法改悪」、難民・外国人の命を危険にさらす「入管法改悪」など、国のあり方の根幹に関わる悪法が次々と強行された。

 5月に開催されたG7サミットでは、広島が開催地であることから、国内外から核兵器廃絶に向けた前向きなメッセージが期待された。しかし、G7の対応はこの期待に真っ向から背くものとなった。核兵器による威嚇によって他国を抑えようという「核抑止力」論を公然と唱える一方、世界の92カ国が署名し、すでに国際法としての地位を確立している核兵器禁止条約を無視する姿勢を取ったことに、失望と批判が広がっている。

 新型コロナウイルス感染症は未だ終息には至っていないが、感染症法上の5類に移行した。コロナ禍で医療・検査体制の強化が進まず、補償のない休業要請などの失政により国民は苦しめられてきた。今もなお、私たちを取り巻く環境は大きく変化し、これに追い打ちをかけるかのように物価高騰が国民、労働者の暮らしを悪化させている。

 国鉄労働組合は、国民の生命と財産を守る立場から、現状を看過することはできない。いま急ぐべきは、憲法改正や大軍拡ではなく、実効性のある暮らしと経済の立て直しであり、憲法を守り生かしていくことである。

 岸田政権の国民不在の暴走政治を許さず、今こそ結成から七七年の歴史と伝統、経験と実績を基に、働く者の雇用と権利、国民の生命と健康を守り、核なき世界の平和と民主主義実現をめざす闘いを一層強化していくものである。

 右、決議する。

 2023年7月28日 国鉄労働組合 第92回定期全国大会