私たち国鉄労働組合は、7月27日~28日、新橋交通ビルにおいて第九十二回定期全国大会を開催し、組織強化・拡大を運動の中心に据えながら、JR及びグループ・関連会社の職場における労働条件改善と非正規労働者の正社員化ならびに処遇改善、安全・安定輸送の確立、効率化優先の合理化反対、ローカル線をはじめとする地方公共交通の維持・活性化、そして大幅賃上げ獲得に向け、2024年春闘の勝利をめざし、全力をあげて闘い抜く決意を固め合い、向こう1年間の運動方針を確立した。

 本大会は新型コロナウイルス感染症の「五類」移行に伴い、大会会場への出席を基本としながらも、代議員や構成員の命と健康を守るための感染防止対策に努めた中での開催であったが、「組織強化・拡大に向けた具体的な運動の展開」を引き続き職場から強めるとともに、「5年ビジョン」が最終年度を迎える中で、今後の国労を担う次世代への運動と組織・財政を継承・発展させるため組織が一丸となって議論と意思統一を深めることを確認した。

 今年1月23日から6月21日の会期で開催された第211回通常国会は、「防衛力の抜本的な強化の実現や少子化対策」に重点を置いた岸田首相の施政方針演説に始まったが、昨年12月16日、岸田政権は安保三文書(「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)の閣議決定を強行し、歴代の自民党政権でさえ触れられなかった「敵基地攻撃(反撃能力)の保有」への大転換を図った。さらに今年1月30日の衆議院予算委員会では、岸田首相自ら、『日本が侵攻を受ける「武力攻撃事態」だけでなく、アメリカなどの同盟国が武力攻撃を受けて集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」の場合でさえ「反撃能力」の発動は可能である』と踏み込んだ答弁を行った。安倍元首相の強権政治を継承し、矢継ぎ早に改憲発議への布石を打ちながら、「戦争する国づくり」へとひた走る岸田政権の暴走を何としても阻止しなければならない。

 また、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からすでに12年が経過する中、地下汚染水問題や溶融燃料の取り出し、「核のゴミ」の処理問題も未だに解決の目途が立たないまま、4月13日、日本政府はトリチウムなど放射性物質を含む100万トン以上の処理済みの汚染水について、周辺海域の水産物への「風評被害」を懸念する地元の人々の声を抹殺し、福島県沖の太平洋に放出する計画を強引に承認した。さらにIAEAは7月4日に「放出計画は国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を公表し、人や環境への放射線の影響は「無視できるほどごくわずかだ」と評価している。

 中国や韓国など周辺国からも汚染水の海洋放出について根強い不信の声が上がるなか、全国漁業協同組合連合会も反対の姿勢を示しているが、「安全神話」の崩壊による過酷な原発事故を経験した福島県民にとっては、「安心」とは程遠い状況であることはいうまでもない。改めて福島県民・漁業者の反対の声に耳を傾け、拙速に安易な海洋放出を選択することなく、全ての人が納得できる最良の途を模索していくことを強く求めるものである。

 一方、JR福知山線及び羽越本線での脱線事故から18年が経過した。事故の教訓は未だ生かされないままに今年1月にはふたたび西日本で雪害に伴う長時間の立ち往生で乗客が車内に閉じ込められる大規模輸送障害が発生した。東日本・川越線では単線区間において上下列車が鉢合わせとなるトラブルが発生し、JR内房線では変圧器の交換作業中に関連会社社員が感電により死亡する痛ましい労働災害死亡事故が発生している。JR・グループ・関連会社を問わず重大なインシデントやトラブル、労働災害は後を絶たず、労働者の健康や命までもが奪われる事態となっている。安全輸送の確立と信頼回復は喫緊の課題であり、鉄道輸送業務に携わる労働組合として、公共交通機関であるJRの社会的責任の履行やコンプライアンス遵守に向けた検証を間断なく行い、職場からの運動と団体交渉の強化により、労働災害・事故防止対策の取り組みに全力をあげることが求められている。そのためにも、利用者や地域住民の視点に立ち、交運労協に結集する他産別や全ての交通・運輸労働者の仲間と連帯し共闘を強めながら「誰もが安心して安全に働ける職場づくり」をめざす運動を強化していかなければならない。

 同時にローカル線問題は、今年四月の「地域公共交通活性化再生法改正法」の可決・成立により、新たな局面を迎えることになった。JR各社の中で路線別の収支や輸送人員数が相次いで公表される中で、今後「再構築協議会」の設置なども検討されることから、鉄道路線維持のための公的資金支援制度の拡充や地域公共交通の持続的な安定経営の確立を強く求めていくことが重要である。

 JR各社の2022年度決算は、新型コロナウイルス感染症の一定の落ち着きによる各種制限緩和の影響により緩やかな回復傾向が続く中、北海道・貨物会社を除くJR各社は黒字決算へと転化した。これを背景に23春闘では各社とも定期昇給の完全実施と有額ベア回答を勝ち取り、夏季手当では貨物会社を除き各社とも増額の結果となったが、賃上げが物価上昇に追いつかない状況は変わらないままに生活に困窮する組合員・家族の不満と怒りの声が寄せられている。コロナ禍を理由に施策の先取りや一層の効率化を推し進めるJR各社及びグループ・関連会社の労働条件改善は喫緊の課題でもあり、契約社員の雇い止め解消や正社員化の実現が重要な課題となる中で、引き続き、希望する契約社員の「正社員化」を強く要求し、「同一労働同一賃金」の確立と真の働き方改革を実現させるべく格差是正に向け全力をあげなければならない。

 昨年度に続き「組織強化・拡大の具体的な運動の展開」に決起することを確認しながら、組織拡大運動を全ての闘いの集約点としながら全力で取り組んできた。その教訓を全国で積み上げてきた仲間の努力と頑張りにより、国労への信頼や共感に結び付けてきたが、この組織拡大の条件を結実させるべく、さらに不退転の決意で組織拡大に取り組むことが求められている。結成から七七年の長い歴史と伝統を持つ労働組合として、JR及びグループ・関連会社の中で労働条件改善と待遇改善に向けた職場での実践を通じて、様々な苦境の中でも次世代の社員に対して「労働組合の必要性」を伝え広げようとする運動の構築をめざし、全組織が一丸となって取り組むこととする。

 右、宣言する。 

2023年7月28日 国鉄労働組合 第92回定期全国大会