第93回定期全国大会にご参集いただきました、構成員、傍聴者及び、関係する仲間の皆さん、大変ご苦労さまです。また、大変お忙しい中ではありますが、激励に駆けつけていただきました交運労協・慶島事務局長、平和フォーラム・染共同代表、全労協・渡辺議長、交運共済・本田専務理事、そして自公政権の中で国民の声を届けていただいている立憲民主党・森屋たかし参議院議員、社民党・福島みずほ参議院議員、日本共産党・宮本とおる衆議院議員におかれましては、大変お忙しい中でご臨席賜ったことに対し、国労を代表して感謝を申し上げたいと思います。

 そして酷暑の中で日夜鉄路を守り、国労運動を職場・地域から展開していただいている全国の組合員に対し敬意を表します。

 再雇用組合員が年々多くなり、勤務調整などが難しくなる中で、今大会も準備地本として鎌田委員長を先頭に東京地本の皆さんに任務についてもらっていることに感謝申し上げます。

 中央執行委員長の松川です。中央執行委員会を代表して一言ご挨拶申し上げます。

 世界を見渡すとロシアがウクライナへ軍事侵攻し、イスラエルとハマスが紛争状態にあるなど、世界各地で戦争が起こっています。領土の主権や、政治的な思惑など様々な主張が正論とばかりに叫ばれ、ついには武力衝突となっています。

 しかし、その主張のために住宅が破壊され、学校や病院、避難生活を余儀なくされた地域までも攻撃され、何の罪もない人々や子供たちの命が奪われており、人道的に許されるものではありません。

 そして残念なのは、世界の紛争や隣国の脅威と言いながら、岸田政権が増税をも視野に置いて軍事力を増強しようとしていることです。まさに戦争法である安保法制の制定以降、「戦争のできる国」から「戦争をする国」へと突き進んでいます。国を守るためと言いますが、戦争になれば国民が犠牲になるのは火を見るよりも明らかです。世界で唯一の被爆国である日本が戦争の悲惨さを訴えることなく、アメリカに追従している政治を変えなければいけません。自公政権は、退いてもらわないと国民が犠牲になると思います。国労はいかなる戦争も認めることはできないことを明らかにし、今日ご臨席賜りました良識ある政党の皆さまと平和な国を構築していきたいと思います。

 さて、今大会の第一の課題は、すべての闘いの基盤である組織強化・拡大についてです。

 昨年度は、「各機関1名、全国で50名の拡大を目指す」ことを確認し取り組みを強化してきました。その結果、組合員の減少により職場の活動が思うようにいかない中でも拡大を果たしていただきました。組織環境が年々厳しくなっていく中で拡大していただいたことに感謝を申し上げます。各地方の取り組みにお互いが学び合いたいと思います。

 一方、組織の現状は、多くの退職者を抱え大変厳しいのが現実です。大会の中で5年ビジョンの総括議論と併せて、次年度の運動方針についてご議論いただきますが、組織拡大を最重要課題として取り組んでいくことをあらためて確認したいと思います。特に社員の8割以上が組合未加入という異常な状態が続くJR東日本における組織拡大を重点課題として取り組みたいと思います。

 第二の課題は、5年ビジョンの総括についてです。

 5年ビジョンは、国労の将来展望を形作るために、基金を活用しながら組織拡大に全力を挙げ、その運動の推進力で展望を切り開いていくことにありました。5年間全国で取り組んだ結果、50名を超える組織拡大を勝ち取ることができたことを確認し合いたいと思います。しかし、残念ながら組織の現状を改善するには至りませんでした。

 この結果について、本部はもとより地方の問題としても考えていかなければなりません。本部としての総括についてはお示しした通りですが、今大会の中で地方における教訓や反省点の報告を受け、国労としての総括を行ったうえで、これから先の考え方を中央執行委員会として取りまとめ、課題別に組織検討委員会にも諮問したいと思います。

 第三の課題は、労働条件改善、JRの安全・安定輸送を確立する取り組みです。

 日本の鉄道が開通してから152年、JR発足37年を迎えましたが、経済発展のために敷設された鉄路は、儲からない、赤字だからと廃線の危機にあります。まさに国鉄改革第2幕です。

 ここでもう一度考えなければいけないのは、鉄道は営利目的で儲けなければ成り立たないのか。公共交通とは何か、ということです。

 鉄道は、設備の建設、維持管理、新たな技術開発などに莫大な費用がかかり、常に安全を優先課題として担保しなくてはなりません。そのため、安易な合理化や安全投資の削減は企業の質を落とし、事故に直結していきます。したがって、設備と人材は重要な資源です。これは地方の鉄道でも同様のため、儲けを追及するのは難しくなります。

 一方で利用者の立場からは、都市部の鉄道も、地方の鉄道も、利用者の数こそ違え、重要な交通手段としての位置づけは変わりありません。高齢化社会の到来により自動車免許も返納が求められ、トラックやバスの運転手不足が深刻になっています。今一番必要なのが、公共交通ではないでしょうか。

 生活に必要な生活ネットワークの一部が公共交通であり、物流システムです。鉄道、バス、トラックなどを個別の移動手段として論じても、少子高齢化社会における安定した生活は望めないと考えます。

 そのような観点から、人流であるローカル線を含む鉄道と他の交通モード、さらに物流の組み合わせから、生活ネットワークをデザインしていくことこそが国の役目だと思っています。

 しかし、現状は法改正によりローカル線の再構築協議会が赤字を抱える事業者の要請によっても設置できるようになったため、協議会では「経営問題としての廃線議論」に傾いてきています。国労は、全国の交通網を個別に考えるのではなく、ここで立ち止まって生活ネットワークにおける公共交通の役割を考えることをあらためて訴えます。きわめて政治的な部分もあるので、政治と行政に訴えかけたいと思います。そのために本部として10・14シンポジウムを開催し、さらに国交省要請などを取り組みたいと思います。

 第四の課題は、2025年春闘についてです。

 2024年春闘では、全エリア本部で要求を提出し、ベアの有額回答を引き出すことができました。また多くのグループ会社においても、同様の成果を得ることができました。要求額には届かなかったものの、奮闘していただいた各エリアの取り組みと組合員の奮闘に感謝申し上げます。

 24春闘では政治的な背後要因があったものの、日本全体では定昇込みの賃上げは平均5.1%となりました。しかしこの数字は、労働組合のある企業の平均であり、その多くが大企業です。一方、中小企業は、日本企業の99%、労働者の7割を占めており、その多くはカバーできていません。

 立場の弱い労働者が団結して要求しなければ勝ち取れないという、労働組合の基本的な役割を再認識して2025年春闘に臨みたいと思います。

 第五の課題は、政治的な課題についてです。

 アメリカ大統領選挙を前にして、トランプ前大統領が演説中に銃撃される事件が起きましたが、あれこそが銃社会の現実です。軍事力も強大になればなるほど、その力を背景にした圧力に終始し、軍事衝突へと発展します。したがって、日本を防衛するためとする軍事力増強は無意味であることは、過去の戦争体験からも容易に想定できると思います。国民を危機にさらすだけの軍事増強には反対です。軍事大国化へ引き戻そうとしているのは自民党です。相変わらずの金権腐敗政治から脱却できない自民党政治にNOを突きつける時です。

 さらに、原発を巡ってエネルギー政策の見直しが行われていますが、岸田政権は原発回帰の立場を鮮明にしてきました。福島第一原発事故を忘れたかのような、この安易な方針転換を許すことはできません。

 国労は昨年、第11回目となるフクシマ交流を成功させ、反原発の取り組みを地域の仲間と共に取り組んできました。この間の取り組みで人類と核の共存、核の平和利用はあり得ないことを次世代の仲間と共に確認してきました。エネルギー政策の大転換を前にして、福島第一原発事故を風化させない取り組みとして、フクシマ交流を今年度も開催する方向で検討します。

 最後に共済運動についてです。

 交運共済は、昨年こくみん共済コープへ契約移転し、セット共済について順調に滑り出しました。現在は、交運共済で行っている、総合共済の改定に向けた取り組みを行っています。組合員及び担当役員の皆さまにはご苦労をおかけいたしますが、引き続き、組合員のご理解とご協力をこの場を借りてお願いいたします。

 以上、中心的な課題について述べましたが、難局を乗り越え国労運動を継承していくためにも、組織拡大の取り組みが必須です。全ての闘いを組織拡大に集約し、全力を挙げる事をあらためて強く訴え、第93回全国大会の成功と国労の総団結を目指す決意を申し上げて中央執行委員会を代表してのご挨拶といたします。

以 上